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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国の食事の構成をみると、主食・主菜・スープなどのほかに、副菜である小さなおかずが多く存在します。その小さなおかずのことを、韓国語ではミッパンチャン(
)と言います。ミッ(
)は「基本の」「元となる」を意味する接頭語、パンチャン(
)は漢字で「飯饌」と書き、「おかず」「惣菜」を意味します。
ミッパンチャンには長期保存のきく漬物類のほか、多めに作って数日食べ続けられるような煮物や和え物など、材料も調理法も様々なものがあります。食卓にメリハリをつけてくれる多様なミッパンチャンは、韓国料理の魅力のひとつと言えましょう。
そんなミッパンチャンの中でも、中心的な役割を担っているのがムッチム(
:和え物)です。ムッチムは野菜や海草、魚介類など様々な材料で作られますが、乾物などを使って濃いめの味に仕上げたムッチムは、ご飯のおかずにぴったりでとても重宝されます。水で戻した乾物は水気をよく絞ってから薬味調味料で和えることにより、後から水が出ることもなく保存性のよいおかずになります。たくさん作った場合は、密閉容器に隙間なく詰めて冷蔵庫で保存し、食べる分だけその都度器に取り分け、密閉容器のほうは清潔に保つようにすると、傷みにくく最後まで美味しく食べることができます。
■ 保存性のあるムッチム
<海草(乾物)>
・キムムッチム(
)海苔の和え物
干し海苔を小さくちぎり、塩、ごま油、すりごま、醤油などを加えてまんべんなく和えます。
・パレムッチム(
)青海苔の和え物
青海苔(乾物)を水で戻して水気を絞り、醤油、ごま油、すりごま、おろしにんにく、粉唐辛子、みじん葱などを加えて和えます。細切りにした大根や玉葱を塩でしんなりさせ水気を絞ってから加えたり、酢を加えて仕上げることもあります。また、生の青海苔が手に入れば、香りがよく格別の一品になります。
・トンナムルムッチム(
)ひじきの和え物
ひじき(乾物)をたっぷりの水または湯で戻して洗い、水気をきってから醤油、砂糖、粉唐辛子、ごま油、すりごま、おろしにんにくなどで和えます。ひじきを戻してから、熱湯でさっと茹でる場合もあります。また、好みでコチュジャン、魚醤、酢などを入れたり、スライスした玉葱や生唐辛子、みじん葱を入れることもあります。
<魚介類(乾物)>
・プゴムッチム(
)干し鱈の和え物
すけそうだら(干物)の皮や骨を取り除き、水で戻してから水気を絞り、コチュジャン、砂糖、醤油、ごま油、おろしにんにく、すりごまなどを混ぜた合わせ調味料を加えてまんべんなく和えます。好みで梅シロップ、みじん葱、蜂蜜、粉唐辛子、生姜汁などを入れることもあります。裂き鱈(プゴチェ:
)の和え物という意味で、プゴチェムッチム(
)と言うこともあります。
原料の干し鱈
・オジンオチェ ムッチム(
)さきいかの和え物
さきいかを使って、干し鱈の和え物と同様の合わせ調味料で和えて作ります。さきいかの状態によっては、太い部分をさらに手で裂いて全体の太さを揃えておくと、味が均等にしみこみやすくなります。干しいか(マルンオジンオ:
)の和えものという意味で、マルンオジンオ ムッチム(
)と言うこともあります。
<根菜>
・トラジムッチム(
)桔梗の根の和え物
桔梗の根は韓国の人々にとってなじみ深い食材で、有効成分「サポニン」を含む薬用効果の高さが特長です。トラジは生と乾物があり、どちらの場合も独特の苦みを抜くために、細切り後に塩もみして水に晒したり熱湯で茹でるなどの下処理が必要です。下処理できたら、コチュジャン、粉唐辛子、砂糖、酢、すりごま、おろしにんにくなどを混ぜたチョコチュジャン(唐辛子酢味噌)で和えます。長葱や玉葱、にんじんなどを千切りにして加えることもあります。
・トドッムッチム(
)つるにんじんの和え物
トドッ(
:つるにんじん)の根はトラジ同様、薬効が高く韓国で好んで食べられる食品です。トラジムッチムと同じく、皮をこそげて細く切るか手で裂き、チョコチュジャン(唐辛子酢味噌)で和えて作ります。
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保存できるムッチム
干し野菜(コンチェソ)
乾燥わかめ(コンミヨッ)
塩辛(チョッカル)
イシモチ(チョギ)
鴨(オリ)
エイ(ホンオ)
ずいき
コプチャン
エホバッ
みずだこ
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