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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
キムチ(
)は韓国語で漬物の総称であると同時に、
すべてのキムチの代表格である白菜キムチ(ペチュギムチ:
)を指すことばでもあります。
あらゆる野菜・野草類がキムチになるといえるほどキムチの種類が多岐にわたる中で、
白菜で漬けたキムチこそが季節を問わず消費量・用途・存在感など各面で常に圧倒的な首位の座を誇っていることは、
韓国食文化の特筆すべき点といえましょう。
その背景には、
白菜という野菜が朝鮮半島の気候風土に合って栽培に適していること、
また漬物(すなわち発酵性の長期保存食)向きの野菜であること、古くから朝鮮半島にはキムジャン(
)
といって初冬に一冬分の白菜キムチを漬け長期にわたって食べ続ける習慣があったこと、
白菜キムチをそのまま食べるだけでなく汁も含めて料理に使うことが多く、韓国料理の副材料として、
あるいは調味料として味の決め手になるほどの大役を担ってきたこと、などが挙げられます。
■ 白菜キムチの漬け方(一般的な方法)
@白菜の塩漬け
白菜を縦に半分または4等分に切り、葉の間に5%ほどの塩をふるか10%ほどの塩水に漬けます。重石をして、途中で上下を返すなどして1日ほど置きます。塩漬けの前に、白菜を軽く天日で干すこともあります。
A白菜の水洗いと水切り
塩漬けできた白菜を流水でよく洗ってザルに並べ、重石をするなどして半日ほどよく水気を切ります。
Bヤンニョム(薬味)作り
粉挽き唐辛子、粗挽き唐辛子、にんにく、生姜、葱、塩辛(アミ、イカなど)、魚醤(鰯、イカナゴなど)、砂糖、米粉糊などを混ぜ合わせてキムチヤンニョムを作ります。地方により家庭により入れる材料はさまざまで、生の魚介や海草、大根の千切り、果物(梨、りんご、柿など)、にら、芹などを入れることもあります。
C白菜にヤンニョムを塗る
水を切った白菜の葉の間にヤンニョムを塗るようにしてまんべんなく挟んでいきます。1切れずつ外葉で巻くようにして密閉容器に隙間なく詰めます。
D熟成発酵させる
すべて詰めたら、表面を白菜の切れ端や残ったヤンニョムで覆うか、ラップフィルムでぴったりと覆って、室温で1〜2日置いてから0〜5℃くらいの低温で熟成発酵させます。温度が高めだと発酵が進んで早く食べ頃を迎える半面、酸味が出るのも早く短期保存となります。温度が低ければゆっくり発酵して長期保存がききます。韓国では、キムチを長期間おいしく食べられるよう、発酵・保存に適した温度管理のできるキムチ専用冷蔵庫が普及しています。
E食べる
温度にもよりますが、1週間後くらいから食べられるようになります。1切れずつ容器から取り出して一口大に切り分けます。初めは浅漬けの状態で、日がたつにつれて熟成してまろやかな味になります。後半、発酵が進んで酸味が出たものは、料理に使うのも効果的です。上手に保管すればカビが生えることなく最後の1切れ、汁の1滴までおいしく食べ尽くすことができます。
■ ペチュギムチを使った料理のいろいろ
・キムチチゲ(
)
キムチ鍋。白菜キムチや豆腐、葱、きのこ、豚肉などが入ったピリ辛の鍋もの。
よく熟成して酸味の出たキムチを、汁ごと使うのが一般的です。キムチは鍋の具であると同時に、味を構成する主要な役割を担っています。
ほかに味噌、醤油、コチュジャン、魚醤やにんにく、生姜、唐辛子などを組み合わせて味を調えます。
キムチチゲはテンジャンチゲ(
:味噌鍋)と並ぶ、韓国のポピュラーな国民食といえます。
・キムチポックム(
)
キムチ炒め。よく漬かった白菜キムチをメインに、豚肉、葱、玉葱なども加えた炒めもの。ごま油で炒めて、醤油やコチュジャン、にんにくなどを混ぜ合わせた甘辛いタレで仕上げます。庶民的なご飯のおかず、酒の肴の定番料理です。
・キムチポックムパプ(
)
キムチ炒飯。刻んだ白菜キムチのほか、葱や玉葱などとともにご飯を炒め上げたピリ辛の炒飯。焼肉の切れ端、ツナ缶などを入れることもあります。目玉焼きをのせるのが定番スタイルです。
・ポッサム(
)
茹で豚。豚のバラ肉やロース、肩ロースなどを大きなかたまりで柔らかく茹で、
薄切りにした料理。必ずといってよいほど白菜キムチが添えられ、
サンチュやえごまの葉などで一緒に包んで食べます。チェユッ ポッサム(
)、テジコギ ポッサム(
)、
スユッ(
)、ポッサム スユッ(
)などと呼ばれることもあります。
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