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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国でオーソドックスな「ご馳走」のイメージとして、長きにわたって王座を占めているカルビ。
韓国語「カルビ」(
)の第一義は「あばら」ですが、実際には牛あばら肉の焼肉(ソカルビクイ:
)をさすことが多くあります。
焼肉(コギクイ:
)のジャンルが発達した韓国食文化において、「肉」(コギ:
)と呼ばれるものの範疇は広く、
牛・豚・鶏を中心に正肉(いわゆる肉の部分)の各部位と、内臓(胃・腸・心臓・肝臓・腎臓・食道など)
、タン(舌)、テール(尻尾)、筋膜、顔、皮など実に多種多様な可食部位を焼肉にして食します。
その中でも頂点にあるのが「ワンカルビ」(
)。「ワン」は漢字で「王」と書き、大きく立派で最上級を意味する接頭語です。
そこから、ワンカルビとは牛あばら肉の中でも骨つきで肉厚のもの、そしてその焼肉をさします。
そもそも牛あばら肉は適度な脂肪が入った旨味の濃い部位で、肉質が比較的しっかりしているため、焼肉にする場合は薄く切り開いたり斜めに細かい包丁目を入れるなど、下ごしらえを工夫するのが特徴です。きれいに下ごしらえされた肉はタレに浸けこんでおき、炭火などの直火で焼いていただきます。薄く切り開かれた肉が細長く延びている場合は、焼きながらハサミで食べやすく切ることもあります。甘辛いタレのしみこんだカルビ肉を焼くと、その匂いも美味しさも格別で、骨の周りの膜まで剥がしながら食べ尽くした後には骨だけがきれいに残ります。
■ 水原(スウォン)ワンカルビの由来
京畿道(キョンギド) 水原(スウォン)は、李氏朝鮮王朝時代から日本統治時代を経て解放後に至るまで、都にほど近い交通の要所だったという背景からか、全国有数の大きな牛市場がありました。市の立つ日には多くの牛飼いと仲買人が訪れて盛況を呈し、その規模は全国で3本の指に入るほどであったと言われます。その後、牛市場は設備改修と移転を繰り返した後、商取引形態の変遷とともに衰退し1996年、完全閉鎖に至ります。
牛市場のあったスウォンでは1950年代半ばごろから、
市内の栄洞市場(ヨンドンシジャン)内にあったヘジャンクッ(酔い覚ましスープ)屋で、牛カルビを薬味ダレで味つけし炭火で焼いた
「ヤンニョムカルビ」(
)が出されるようになり、それが「ワンカルビ」の発祥であると言われます。
現代と比べても貧富の格差が激しかった当時、高価なワンカルビは当代の大統領や高官、軍人を常連客として次第に裾野を広げ、今やスウォンを代表する名物料理となりました。
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