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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
韓国に古くから伝わる独特な飲み物、
シッケ(
:食醯)。
シッケはご飯を麦芽水に浸して発酵させたもので、ほんのり甘く、さしずめ「韓国式甘酒」ということができます。
韓国語でも別名「タンスル」(
:甘い酒)と呼ばれることがあります。
もともとシッケは、節句やお正月などの年中行事、あるいは祭祀のときの宴会料理に欠かせない伝統飲料で、家ごとに仕込んで飲むものでしたが、近年は工場で生産された缶飲料・ペットボトル飲料としても出回っています。また、透明カップ入りのおしゃれなシッケや、カフェのメニューにも素敵にスタイリングされたシッケが登場するなど、伝統食を現代に取り込む工夫が見られます。
シッケがこのように現代社会で注目されるようになった一面には、その健康効果が挙げられましょう。シッケは天然の消化促進剤と呼ばれるほど消化酵素を多く含むため、ご馳走を食べた後の飲み物として歓迎されています。また疲労回復、アルコール分解促進による二日酔い防止、便秘解消などの効果もあると言われています。
さて、シッケ作りにおいてポイントとなるのが麦芽です。
麦芽とは大麦を水に浸してから数日かけて発芽させたもので、
発芽後粉砕して乾燥させた状態で流通しています。韓国では麦芽はヨッキルム(
)といって、
シッケのほか飴(ヨッ:
)を作る材料として、比較的身近な食材になっています。
■ シッケの作り方(一般的なもの)
@
麦芽水を作る
麦芽を同量くらいの水につけてふやかした後、手でよく揉むようにして麦芽成分を水にしっかり抽出し、目の細かいザルでこして麦芽水をとります。しばらく置くと混入した固形物が沈殿するので、上澄みを使うようにします。あるいは、麦芽を布袋に入れて口を硬く縛っておいてから、水につけて抽出することもあります。そうすると、固形物の混入を避けることができます。
A
強飯を炊く
@でとれた麦芽水の1/3量くらいの米をといで炊飯器に入れ、やや少なめの水加減で炊きます。
B
ご飯と麦芽水を合わせる
炊き上がったご飯に@の麦芽水を注ぎ入れ、炊飯器を保温に設定して6〜7時間発酵させます。
C
火を入れる
発酵して米粒がぽつぽつと浮かんできたら、中身を鍋に移して火にかけます。このとき、甘味を補うために砂糖や水飴を加えたり、スライスした生姜を入れることもあります。沸騰したらアクをすくいながらしばらく煮立てて、火を止めます。火を入れる前に、浮かんだ米粒をひとすくい取り出して、冷水につけてとっておくこともあります。
D
冷やしていただく
冷めたら冷蔵庫で冷やし、器によそっていただきます。Cでとっておいた米粒を浮かべたり、松の実や棗の飾り切りを浮かべることもあります。
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