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韓国の食文化について、伝統から現代の習慣・行事にいたるまで、1テーマずつ読み解いていきます。
豆は韓国料理でよく使われるポピュラーな食材です。豆をさす韓国語「コン」(
)は、豆類の総称であると同時に、豆の代表格である大豆を意味することもあります。
韓国でよく目にする豆には、次のようなものがあります。
・コン(
)大豆
ヒンコン(
:白豆の意味)、テドゥ(
:大豆の音読み)、
ペッテ(
:白太の音読み)とも言います。日本と同じく韓国でも豆類の中で最も利用幅が広く、乾物をもどして煮豆、豆餅、豆ご飯にしたり、
日本の枝豆のように未熟な生豆(
:プッコン)を茹でて食べたり、
それを乾燥させた青豆(
:チョンテ)、発芽させたスプラウトであるコンナムル(
)など、
食材としての形態もざまざまです。また、大豆の加工品である豆腐(
:トゥブ)、
おから(
:ピジ)、豆乳(
:トゥユ)を使って調理するなど、大豆に由来する料理は実に多岐にわたります。
そもそも、韓国料理の基本調味料である醤油(
:カンジャン)、
味噌(
:テンジャン)、
唐辛子味噌(
:コチュジャン)なども、大豆を発酵させた食品であることは言うまでもありません。
・コムンコン(
)黒豆
別名コムジョンコン(
)。韓国の黒豆は種類が多く、
体に良い食物という認識から料理によく使われます。大粒で中が大豆色のフッテ(
)はやさしい甘味が特徴、中粒で中が鮮やかな緑色のソリテ(
)は濃厚な味と優れた健康効果が特徴で、ともに豆ご飯や煮豆にされます。
同じく中が緑色で小粒のソモッテ(
)はヤッコン(薬豆:
)、チュィヌンコン(鼠目豆:
)とも呼ばれ、餅菓子に入れたり炒り豆、酢豆にされます。
・カンナンコン(
)隠元(いんげん)豆
赤(紫)のもの、白いもの、白に紫斑の入ったものなど、いろいろな種類があります。煮豆や豆ご飯にします。
・パッ(
)小豆
赤い色が魔除けを象徴するという意味合いもあり、
冬至の小豆粥(
:パッチュッ)、
お祝いの小豆ご飯(
:パッパプ)、
小豆入り蒸し餅(
:パッシルトッ)など時食(季節食)・節食(年中行事食)としても作られてきました。
・ノットゥ(
)緑豆
日本では一般に「もやし」もしくは「春雨」の原料という程度の認識かもしれませんが、
韓国では比較的身近な食材です。砕いた緑豆生地をチヂミのように油で焼いたノットゥピンデトッ(
:緑豆のお焼き)、
ノットゥバプ(
:緑豆ご飯)、ノットゥジュッ(
:緑豆粥)、チョンポムッ(
:緑豆の煮凝り)などが緑豆料理として知られています。
その他、ワンドゥコン(
:豌豆(えんどう)豆)、ピョンアリコン(
:ひよこ豆)、レンティルコン(
:レンズ豆)なども外来料理とともに目にするようになりました。
■ 豆料理いろいろ
豆を主材料とする韓国料理には、次のようなものがあります。
・コンチャバン(
)黒豆の煮物
黒豆を煮て醤油、砂糖、水飴、ごま油などを加えて照りよく仕上げます。日本の甘くて柔らかい黒豆のイメージとは異なり、醤油やごま油の味と香りを前面に出して固めに煮上げた、おかず豆です。
・コングクス(
)豆乳麺
豆乳と鶏だしを混ぜた塩味のスープに、素麺など小麦粉の細麺を入れた夏向きの冷やし麺。きゅうりの細切りや茹で鶏、茹で卵などをのせます。
・コンピジチゲ(
)おからのチゲ
豚肉とキムチを炒めてだし汁を注ぎ、おからを入れて煮込みます。刻んだ葱や生唐辛子、キムチの汁、アミの塩辛、にんにく、粉唐辛子などで仕上げます。もったりとコクのある冬向きのチゲです。
・ノットゥ ピンデトッ(
)緑豆のお焼き
表皮を取り除いた緑豆を水とともにミキサーにかけて柔らかい生地を作り、
油を多めにひいたフライパンで両面焼きます。豚肉や葱、わらびなどの具を入れることもあります。カリッとした焼きたてをヤンニョムチョカンジャン(薬味酢醤油)などにつけて食べます。
ノットゥジョン(
)、ノットゥチヂム(
)とも呼ばれます。
・コンチャルトッ(
)豆入り蒸し餅
蒸し器にぬれ布巾を敷き、十分に浸水させた黒豆、隠元豆、豌豆豆などの豆と、むき栗、刻んだかぼちゃ、干柿などを混ぜ入れ、ほどよい水分と砂糖を混ぜ込んだもち米粉をザルで漉してからふんわりと入れて、蒸気で蒸し上げます。豆類のほっくり感と、ほんのりと甘い餅生地が絶妙な伝統餅菓子。
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